モノクロタイム

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みんなではじめるデザイン批評・読了後の感想と実践して思ったこと.

reiji1020.hatenablog.com

これの続きです.

6月は長距離移動することが多かったので,飛行機内やバス内で読んでたらあっという間に読み終わりました.簡単にですが感想をまとめてみたいと思います.

批評を行うテクニック

エンジニア友達の間と大学くらいしかこういうことを行う場所もないのだけれど,これまで(プログラムの構造的に,あるいは理論的に)全く的外れであることや,変更できないことを言われることが多かったです.何故こういったことが起きていたのかというとズバリ単純で,批評を行うための基盤が構築できていないことが原因でした.そもそもどういったアプリを作るのかとか,どういった問題を解決するためのデザインなのかとか,メンバー全員が共有できていないといけないことが全く共有できていませんでした.

これを解決するために,(基盤の構築はもちろんですが)質問をたくさん行うようにしました.批評される側にとって一番悲しいのは質問が無いことだと個人的に思ってます.学会発表も同じですが,やはり質問が多いとうれしいものです.

優れた批評は,意見の表明というよりは質問といった方がいい.質問によって,思い込みが正しいかどうか確かめ,排除し,さらには協力し合って検討することができる. 引用:みんなではじめるデザイン批評 64ページ

そもそも基盤がしっかりしてないと質問もできないのでは,と思われそうですが,グズグズの基盤を固めるためにも質問に始まる会話はとても重要だと感じました.質問による会話はこれまでミーティングに参加することが億劫であったメンバーの参加を促し,これまで多種多様な認識の中で行われていた議論が以前よりは円滑・有意義に進むようになったと思います.

それとこれまで自分がよかれとやっていたけど実は良くなかったテクニック.

もう4年くらい前の話ですが,グループワーク等で人の考えに対し良い所は良い,ダメな所に対してはこれこれこういう理由で納得できない(理解が難しい)とハッキリ言っていたらめちゃくちゃ反感を買いました.同級生に至っては「タメのヤツに何か意見を言われること自体気にくわない」みたいな人も居て,個々が心の奥底でコイツにだけは絶対負けない,みたいな感情を抱いていたような空気がありました(※個人の感想です).そういった人たちとうまくやっていくために,悪い言い方をすれば調子に乗せるためにサンドイッチ話法を用いることで課題を円滑に進められるように物言いを変えていきました.これはプライドが高い人間に程高い効果があって,悪いと指摘した部分を受け入れて貰えやすかったです.サンドイッチ話法には前後の褒め言葉で調子に乗りすぎて,指摘部分を全く覚えていない(聞いていない)という欠点がありますが,これも承知済みでやってました.拗ねて自分の課題を全くやらずに参加されるよりも,多少不備があっても,ほんの少しの修正であっても課題を進めてきて貰った方がマシだったからです.

「サンドイッチ」に惑わされてはいけない.受ける側に対して正直であること.会話のバランスをとること.デザインの要素が目的の為に機能するかしないかを批判的に考え,議論すること.物事を円滑に運びたいからといって,見解やフィードバックを操作,つまりでっちあげてはいけない. 引用:みんなではじめるデザイン批評 184ページ

めちゃくちゃ反省しました.効率厨ですすいません.でも見解をでっちあげてはいなかったかな・・・

サンドイッチ話法,あるいはそれに準ずる批評の仕方として大切なことは

  • 何の為の批評かを考えながら会話を行う(素直に受け入れて貰う為の批評か?批評はデザインをより良くする為の手段にしか過ぎない)

  • 肯定的な点はでっちあげでもウソでもなく,そのデザインが本当に良いと思える部分であること

  • 肯定的な点はそのデザインが達成するべき目標の為に本当に重要である点かどうか批判的に考えた上で提示する

です.前の記事にも書いたかもしれませんが,批評においては「何故」そこが良いのか,「どうして」その部分が悪いのかをきちんと伝えることが重要です.グループの和のためのコメントなんて批評じゃありませんね.メッチャ反省してます.

批評を受けるテクニック

本書の内容に触れる以前の問題ですが,一番重要な事は素直になることだと思います.

イデア練ってきたけどコメントは受け付けません,といった人は一定数居ます.サンドイッチ話法の例でもそうですが,他人の話を聞く気が無い,もしくは受け入れる気が無い人に対して批評を行うのはかなり骨が折れます. デザインを考える際は自分なりにベストな状態のものを考えます.しかしそれは主観的なベストの状態であって,考える過程の中でいつの間にか頭の中から抜け落ちていた目標があるかもしれません.それらを再確認するためにも,メンバーとの会話は重要です.一生懸命考えたものにだめ出しをされるのはツラいです.でも人間性を否定しているわけではないです.

素直になった上で,本書の中身に触れた感想をば.

批評の場では議事録(ToDoリスト)を作ると良さそうです.内容はタイプミスや配置ミスなどの細かい部分の修正から,得られた批評の内容から得られる修正箇所を洗い出した事柄,コメントをくれたメンバーの氏名など.

これらの中から直ちに修正を反映させなければならない事項かそうでないか,またはその批評に対し合意したメンバーの数を考えながらToDoリストを作ります.即時性が低く,また多数のメンバーがそれほど望んでいない修正箇所は優先順位を下げて構いません.修正箇所が多すぎる場合は,即時性を求められている箇所や多くのメンバーから望まれている箇所の修正を最優先とします.全ての批評をデザインの変更に結びつける必要はありません.

・・・

現在大学院生ですので,それほどがっつりとしたデザインの考案やプロジェクトメンバーとしての活躍をしているわけではないのですが,一部現時点でも使えるテクニックが載っています.本のなかで紹介されているグループワークの行い方やツールチップなどの多くは一人でもくもくと研究を行っている私には使いにくいものです.しかし研究発表用のスライドのデザインや中身を詰めていく際に,脳内の複数の自分をメンバーに見立てて批判的に中身を見ていく際に有効活用しています.アレッなんだか友達居ない人っぽい・・・.とにかく来年からエンジニアとして働き始めるので,この本で勉強したことを生かして同期や先輩社員たちとコミュニケーションを取っていきたいですね.

前の記事でも言いましたが,デザイナーだけじゃなくすべてのものづくりに関わる人たちに読んでほしい本だと思いました.2200円+tax払う価値があります.エンジニア風に言うとTeam Geekと同じくらいおすすめです!

ではでは〜